駅から富岡製糸場へ歩くと、片倉北通り、宮本通り、城町通りのいずれかを通ります。
寄り道を楽しむ片倉北通り、駅から近い宮本通り、富岡製糸場正門へ続く城町通り。
まちの楽しみ方として、通りの風景はそれぞれ違った感動を演出します。
富岡製糸場周辺の様子
製糸場の側面側になる片倉北通りは、古い長屋建築が点在していますが、通りとしての魅力や活気があまり感じられません。
路地の散策でいざ製糸場、で開ける通りとしては、もっと感動があってもいいところではないでしょうか。
車通りも多い宮本通りは、駅から最短でいけることもあり、店も多く賑わいのある通りです。
ここでは新しい建物と伝統的木造建築、またそれに覆いかぶさる昭和期の看板建築、トタンとペンキ仕上げの外壁の建物が共存し、
少し懐かしい田舎ならではの雰囲気が残っています。
富岡製糸場正門へ続く城町通りは、観光客が賑わい活気のある通りです。
テイクアウトの食べ物屋、お土産屋、カフェ、ギャラリーなど、競い合うように並ぶ仲見世通りの雰囲気を味わうことができます。
富岡製糸場の世界遺産登録に合わせて整備されたと思われる、比較的新しい店舗も見られました。
もったいない、ツクリモノとホンモノ
看板建築や廉価な仕上げによる外壁など、安っぽい建築物によるまちなみは、場末感の漂う観光地を際立たせる要因になりがちです。
乱立する看板や表示なども、観光地の魅力を落とす原因となっています。
また、人が多いところほど休憩スペースがなく、賑わいが滞留せず流れてしまうように感じます。
中には昔ながらで活用されていない建物もあり、その建物は見るだけとなり、建物が持つ魅力が活かしきれていない状態です。
レンガの建物、望楼のある建物、左官の仕事が光る建物・・・・
歴史的な魅力を伝える要素が、いたる所にちりばめられています。
見るだけ、通りすがりに見る風景だけでは、もったいない。
まちなみの工夫
一部の店には伝統的木造建築にあわせた意匠とする、看板を控えめにするなど、
歴史的まちなみを感じさせる工夫を見ることができます。
また看板建築の看板を取外し、建築本来の屋根形状やファサードを取戻した店舗もあります。
建物の素材や色、質感の統一、レンガなど地域を特徴づける素材の使用は、
通りそのものに場所としての魅力を見出すことができるのではないでしょうか。
城町通りには、通りから一歩下がって構えている店もあります。
この一歩下がることで生まれるエントランス空間は、賑わいから小休止する絶好の止まり木のような役目を果たします。
ベンチなどを置けば、この店だけでなく、周りも賑やかになる小広場のような場所になります。
入場者であふれて人が空くまで、友達や家族の買い物が終わるまで、休むことができる。
通りの店を楽しめる時間を多く持つことができます。
通りの持つ空間特性やニーズを意識した店舗配置も必要だと思います。
おまけ
なんだこれ!と思わせるご当地ものは、思い出話として印象に残ります。
コアな旅行者の心を躍らせるこれらの要素は、ずっと生きていてほしいと思います。
地元市民団体による案内サインが、富岡製糸場周辺の所どころに設置されています。
手書きの文字は人間味があふれ、ほっこりした気持ちにさせてくれます。
Written by 高橋佳祐&上野翔平