観光が世界を救う!?


 「観光」とは中国の古典の「国ノ光ヲ観ル」を語源とし、日本においては江戸期の中頃から次第に使用されるようになった言葉と言われています。現代社会において「観光」は人々のライフスタイルの中に組み込まれた欠くことのできない活動であり、その内容も単に観光資源を巡り歩く旅行だけでなく、リゾート地域における保養休養や自然地域におけるスキーやマリンスポーツなどのアウトドアレクリエーションまで、日常生活から離れた幅広い活動領域へと広がっています。


 観光を受け入れる観光地やリゾート地においては、他地域との誘致競争に勝ち安定した誘客を図るため、観光資源の環境整備のみでなく、美しく心地良いリゾート景観の演出や自然と調和したアウトドアレクリエーション環境の整備など、高度な「ランドスケープデザイン」導入への期待を年々高めています。


 このように「観光」は、観光行動を行う人々にとって重要であるだけでなく、観光を受け入れる地域にとっても非常に重要な役割を有しており、観光による地域への経済効果や地域づくり、まちづくり、むらづくりの促進など、その地域振興効果に期待する声は次第に広がりつつあります。


 そういった流れの中において、京都や小京都とも呼ばれる金沢や飛騨高山、あるいは神戸や横浜のように、固有の歴史風土や文化を適切に活用しつつまちの成熟化を進めてきた都市が、次第に魅力ある観光都市となって多くの人々を呼び寄せている現実を踏まえ、「まちづくりのゴールは魅力ある観光都市」という認識を持つ人々や自治体も次第に増加しており、「住んでよし、訪れてよし」、「結果観光」などという言葉が使われる機会も次第に増加しています。


 まちや都市の成熟化を進めるためには、時代の評価に耐えうる質の高い景観整備や環境整備を地道に進める事が肝要であり、ここにおいても「ランドスケーププランニング」及び「ランドスケープデザイン」の高度な技術が求められています。


JLAU観光部会では、このようなまちやむら、観光地リゾート地の成熟した環境整備に結びつく質の高い「ランドスケーププランニング」及び「ランドスケープデザイン」手法の研究を進めています


高崎経済大学観光政策学科教授 南賢二