青空の下大きく広がる存在感ある白の大屋根が、煉瓦と華奢な柱の組み合わせによって支えられている。訪れる人にインパクトを与え、また世界遺産最寄り駅としての期待感を煽る斬新なデザインでありながら、周辺の明治近代の街並みとの連続感や富岡製糸場の木とレンガの混構造等当時の構造技術に敬意を表する等、ところどころに富岡らしさが積みあげられている。駅は単にターミナルとして機能するばかりでなく、ホームと街をフラットに繋ぎながら溜まり空間を確保することによって、町の中の使い勝手良い施設とし機能し、かつて駅が持っていた求心性、市場的な雰囲気も感じ取られる。
事業に関わった群馬県の新井氏の説明。行政というよりは地元、市民の代表として県内の様々な建築コンペに関わっている。上州富岡駅はプロポーザルという手法で設計者(TNA)を特定している。世界遺産というよりは、市民の駅としての機能も検討する必要があったため、検討過程を公開することを重視し、建築がひとり歩きしないよう、事業の透明性の確保に苦心されてとのことでした。新井氏はこの他にも群馬県農業技術センター(設計:SALHAUS)、
前橋国際大学共愛コモンズ(設計:乾久美子)、鹿沢園地(設計:平倉直子建築事務所)等のプロジェクトにも携わられている。
今回偶然参加いただいた煉瓦積職人の高山氏。富岡では志願して、レンガを積みに来たそうです。レンガの他、施工時(世界遺産登録前)の様子も教えて頂きました。