日時:2022年10月22日(土)~23日(日)
場所:群馬県利根郡みなかみ市
主催:(一社)ランドスケープアーキテクト連盟(JLAU)
随行者:南賢二 氏(立正大学経済学部特任教授)
参加者:10名
わが国の「山岳高原リゾート」のあり方を考えるにあたり、都心からアクセスが良く、魅力的な自然資源を持ったみなかみ町を対象にフィールドワークを実施しました。風景、自然資源、アクティビティ、食、まちづくり等について知見を深め、みなかみ町における山岳高原リゾートの現状を把握し、今後の展開について議論しました。
1日目(10/22)、群馬県上毛高原駅で集合し、レンタカーを借りて「道の駅 たくみの里」に向かいました。約330haの規模のたくみの里には、20種類以上の体験工房がそれぞれ家として点在し、昔ながらの手法をそのままに木工、竹細工、和紙などの様々な手作り体験や地元の食材を活かした食を楽しめる場所でした。
その次に「赤谷湖(相俣ダム)」、猿ヶ京温泉街を通り「泊まれる学校さる小」に向かいました。赤谷湖では相俣ダム資料室でダムの情報を収集し、赤谷湖畔遊歩道を車で走りながら現地の様子を把握しました。さる小は2008年3月に少子化に伴う統廃合により廃校となった猿ヶ京小学校を活用し、2012年4月に泊まれる学校として木造校舎を活かした宿泊施設です。校庭や校舎におじゃまし、使われ方の様子を見学させていただきました。
夕方前に水上の街に到着し、温泉街や利根川沿いの遊歩道を散策しながら南先生に街のレクチャーをしていただきました。街の途中で奥利根の豊かな水を使ったクラフトビール醸造所を経営している方から地元の話を伺い、みなかみの知見を深めました。
2日目(10/23)、藤原湖(藤原ダム)に隣接する藤原湖畔公園横山サッカー場を見学し、矢木沢ダム、奈良俣ダムに向かいました。藤原湖やサッカー場がつくられた経緯、矢木沢ダムのブナ原生林などの自然環境、奈良俣ダムの構造などについて南先生にレクチャーしていただきました。
その後、利根川の支流である宝川の自然環境を取り込んだ3つの混浴大露天風呂と女性専用露天風呂を持つ「宝川温泉汪泉閣」で、豊かな自然環境からつくられた温泉を体感しました。そこから観光スポットとなっている谷川岳ロープウェイに向かい、秋の谷川岳スキー場の使われ方を見学してきました。
谷川岳から下山し、日本一のモグラ駅と言われている「土合駅周辺」をフィールドワークしました。土合駅は地下ホームから駅舎まで標高差約70m、462段の階段で繋がっている駅であり巨大なトンネル状の空間は異世界間があり観光スポットなっていました。
フィールドワークでみなかみ町の魅力と課題について議論した主な内容は以下の通りです。
●魅力:
都心から上毛高原駅まで新幹線で約1時間であり、アクセスしやすく気軽に遊びにいきやすい立地である。
山、川、温泉、雪、湖など自然の魅力が多くあり、特に川を中心として街が形成されているのが特徴的である。
●課題:
日帰り利用には適しているが長期滞在するには施設が充実していない。
二次交通が充実していないため、車の運転が出来ない人は利用のしづらさがある。
川や自然林の風景を楽しめるような整備が十分でないため、自然への距離がある。
良い土地に廃墟が多く、解体するのに費用がかかること等があり手つかずの状況が続いている。
[今後の取り組みについて]
長期滞在ができる山岳高原リゾートを考えていくためには、競合地域との差別化を図りながら、街のあり方を検討していく必要があるとのこと。また一年での入込観光客数が季節で偏りが少なくなる計画をしていくことが観光計画としては重要であるとのことでした。
今後は平成25年に策定された「みなかみ町観光振興計画」を踏まえ、みなかみ町の観光振興の方針(みなかみがどのような方向で観光計画を進めて行けば良いか)について議論をしていきたいと思っています。